高次脳機能障害の後遺障害等級とは?

交通事故による高次脳機能障害の補償額は、後遺障害等級によって決まりますので、どのような後遺障害等級を獲得するかがとても大事になります。
自賠責保険では高次脳機能障害の等級として1級、2級、3級、5級、7級、9級の6段階がありますので、このページでは、各等級について、リンクスの弁護士が経験した事例等に基づいて説明させて頂こうと思います。

もっとも、これらの等級が認められる大前提として「書かれざる認定基準」がありますので、まずはその説明から始めたいと思います。

自賠責の書かれざる高次脳機能障害認定基準

自賠責保険は、高次脳機能障害の症状が交通事故によるものだと認定する上で、次のような基準を充たしていることを求めているとされています。

  1. 事故後の意識障害
  2. CT・MRIなどの画像所見
  3. 症状の一貫性

1 事故後の意識障害

自賠責は事故後の意識障害を重視しており、初診の病院に確認することにしています。
意識障害がなければ事故による高次脳機能障害とは認めないというわけではありませんが、意識障害があったのであればきちんと証明する必要があります。
初診の病院にかかるまで時間を要したために意識が回復していたという場合には、救急車の出動記録を取り寄せるなどして事故現場での意識障害の有無を確認することが大事になります。

2 CT・MRIなどの画像所見

自賠責が最も大事にしているのが画像所見であり、特に大事にしているのが事故直後の画像です。
脳の画像にはCTとMRIがありますが、事故直後にCTは撮影されていても、MRIは撮影されていないということが時々ありますので、すぐにMRIを撮影することが大事になります。
その場合、過去の出血を描出することに優れているT2*(ティーツースター)画像を撮影するのが望ましいとされています。

また、事故直後のCT・MRIで脳損傷が確認できない場合でも、3~6ヶ月後に脳の萎縮が見られることがありますので、3~6か月後に改めてCT・MRIを撮影することが大事です。
その場合,事故直後と比較する必要があるので,事故直後に撮影した断面と同じ断面について,事故直後に撮影した画像と同種類の画像を撮影する必要があります。

CT・MRIで異常がない場合、脳波、PET、SPECTなどの画像所見で異常があったとしても、自賠責保険は高次脳機能障害とは認めない傾向にあり、このような場合には、裁判で闘うほかありません。

3 症状の一貫性

事故直後の症状が最も重いはずであるというのが自賠責の考え方です。

したがって、事故直後に症状がなかったにもかかわらず数か月後に症状が現れたという場合や、事故直後の症状よりも顕著に重症化したという場合、症状の原因が事故以外である可能性があるとして、事故による高次脳機能障害であると認めないことがあります。

もっとも、高次脳機能障害は、自分が異常であると自覚しにくいことがありますし、周囲が気づかないということもありますので、自分も周囲も気づかなかっただけで実際には症状は事故後から出現していたということもありえます。
このような場合には、その事実を証明していく必要があります。

以上の前提要件をクリアした場合に、どの程度の症状かによって決まるのが、後遺障害等級になります。
以下では、各等級が認められるための基準について、リンクスの弁護士が経験した事例等に基づいて説明させて頂きます。

高次脳機能障害1級が認められるには?

自賠責の基準

1級

神経系統の機能は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回りの動作に全面的介護を要するもの

労災の基準

1級の場合、自賠責保険の認定基準が抽象的であるため、労災の基準も参考として掲載しておきます。

1級

「高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの」

 以下の(a)または(b)が該当する。

(a) 重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等常時介護を要するもの

(b) 高次脳機能障害による高度の認知症や情意の荒廃があるため、常時監視を要するもの 

1級が認められるには?

自賠責でも労災でも「常時の介護を要する」とされていますので、日常生活動作がある程度できている場合には1級の認定を受けるは難しいです。

記憶力、集中力、作業遂行能力等の高次脳機能の障害だけでなく、脳の損傷による身体機能の障害も合わせて、被害者が自分で何もできない状態なのかを証明する必要があります。

リンクスの依頼者の方で1級が認定されたのも寝たきりの状態が続いている被害者の方で、車椅子の方は2級止まりでした。

高次脳機能障害2級が認められるには?

自賠責の基準

2級

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

著しい判断力の低下や情動の不安定などがあ って、1人では外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことがで きても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの

労災の基準

2級の場合も、自賠責保険の認定基準が抽象的であるため、労災の基準を参考として掲載しておきます。

2級

「高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの」

 以下の(a)(b)または(c)が該当する。

(a) 重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等随時介護を要するもの

(b) 高次脳機能障害による高度の認知症や情意の障害、幻覚、妄想、頻回の発作性意識障害のため随時他人による監視を必要とするもの

(c) 重篤な高次脳機能障害のため自宅内の日常生活動作は一応できるが、1人で外出することなどが困難であり、外出の際には他人の介護を必要とするため、随時他人の介護を必要とするもの

2級が認められるには?

自賠責でも労災でも「随時の介護を要する」とされており、3級以下が介護を要しない等級であるため、介護の必要性が認められるかどうかが2級と3級の分かれ道になります。

高次脳機能障害と身体の機能障害を総合的に評価するため、一方の障害が重くなくとも他方の障害が重くて介護の必要があれば、2級が認められることがあります。

特に、記憶障害や作業遂行能力等の高次脳機能障害が軽度でも、自分一人では立てないなど身体機能の障害が重い場合には、介護の必要性が分かりやすいため、2級が認められやすい傾向にあります。

日弁連交通事故相談センター発行の「交通事故損害額算定基準」(通称「青本」)では、身体機能上、一人で日常生活動作が可能で、介護の必要度がそれほど高くないような印象を受けても、実態は声掛けが必要という場合でも2級が認められうる旨記載されていますが、簡単には認められない印象を受けます。

LINX FILE 1011人での外出困難・夜間徘徊する高齢男性の等級が3級から2級になった事例

1回目の認定

介護の必要はないとして後遺障害3級が認定

2回目の認定

労災の基準等を指摘して高次脳機能障害2級認定

リンクスの依頼者の方で日常生活動作は可能だが日常生活は妻に頼りっきりで、1人での外出は困難な割に夜間には徘徊しようとする被害者の方(高齢男性)がいました。
自賠責の後遺障害等級認定では3級でしたが、労災2級の基準に次のような基準があることを指摘して、再度の認定を受けることにしました。

(b) 高次脳機能障害による高度の認知症や情意の障害、幻覚、妄想、頻回の発作性意識障害のため随時他人による監視を必要とするもの

(c) 重篤な高次脳機能障害のため自宅内の日常生活動作は一応できるが、1人で外出することなどが困難であり、外出の際には他人の介護を必要とするため、随時他人の介護を必要とするもの

その結果、後遺障害2級の認定を受けることができました。

高次脳機能障害3級が認められるには?

自賠責の基準

3級

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活 範囲は自宅に限定されていない。また、声掛け や、介助なしでも日常の動作を行える。しかし、記憶力や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの

3級が認められるには?

原則としては職場復帰ができないなど高次脳機能障害によって就労不能になったことが3級の認定要件のようです。

日弁連交通事故相談センター発行の「交通事故損害額算定基準」(通称「青本」)でも「被害者が職場復帰して、その状態が一応安定し、職場から排除される雰囲気がないという状態ですと、5級認定に留まり易い」「現実に就労しており、それは一時的な状態ではないという心証が抱ける以上は、労働が全くできないとされる3級以上の評価をすることには抵抗感が出ることは否定しにくい」とされています。

リンクスの弁護士が関わった事例でも、職場復帰できなかったり、解雇されていたり、家事を全くしなくなった場合に、3級が認定されています。

もっとも、青本では、情動面の不安定さから就労を継続できないことや、復職した労務の内容が労務内容がおよそ就労とは評価できない(福祉的労務や訓練労働の場合など)ことも考えられるから、職場での状況や就労内容を十分に把握すべきであり、単に復職したというだけで3級の認定は困難と考えることは危険であるとも指摘されており、復帰した職場での状況や就労内容によっては3級が認められる可能性があるかもしれません。

高次脳機能障害5級が認められるには?

自賠責の基準

5級

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

単純繰り返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの

5級が認められるには?

5級が認められるには、就労不能である必要はありませんが、「きわめて軽易な労務のほか服することができない」場合であることが必要なようです。
例えば、記憶力や知能に著しい障害が生じ、就労がかなり制限されている場合には、5級が認められやすいと言えると思います。

リンクスの弁護士が経験した事例でも、自賠責が5級が認められた理由として、次のような記載があります。

49歳男性会社員の事例
医師作成の後遺障害診断書に「忘れやすい、名前が出てこない」との記載がある。
妻作成の日常生活報告に「読み間違いが多い,電話の内容がうまく伝えられない,怒りやすくなった」「今は仕事はなく,会社に慣れることから始めている状態,行けない時は休んでいる(リハビリ出勤の状態)」との記載がある。

では、知能が正常な場合には、5級が認められないかというとそうではありません。
同じくリンクスの弁護士が経験した事例では、知能が正常範囲でも5級が認められています。

19歳男子学生の事例

神経系統の障害に関する医学的意見で「以前覚えていたことを思い出せない」「新しいことを覚えられない」との記載がある。
葉は作成の日常生活報告に「感情のコントロールがうまく出来ない」「浪費して使途を説明できない」「即時記憶はあるが長期記憶がない」との記載がある。
神経心理学的検査の結果(知能はほぼ正常範囲,記憶・記銘障害)も踏まえ総合的に評価。

この点、自賠責保険の報告書でも、次のように指摘されています。

① 神経心理学的検査で知能指数が正常範囲に保たれている場合でも,社会的行動障害によって社会及び日常生活への適応に難渋している場合には相応の等級評価をなすべきである。

② TVゲームの操作やインターネットでホームページを閲覧する能力が日常生活報告に記載されているだけで,就労可能と判断すべきでない。

③ 学校生活に困難が少なくとも,好まざる対人関係を回避できない職業生活に困難を来たすことは考えられるから,将来の就労能力を推測するに当たっては,学業成績の変化以外に,選択できない人間関係の構築ができるかどうかを勘案すべきである。

高次脳機能障害7級が認められるには?

自賠責の基準

7級

神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの

7級が認められるには?

自賠責では高次脳機能障害と認められれば9級が認定されるので、それよりも重いのが7級という位置づけである。

リンクスの弁護士がかかわった事例では、知能や記憶力にある程度の障害が認められることが多く、復職はしたものの配置転換されたとか、転職を余儀なくされたとか、仕事はできるものの以前のようには働けない場合が多かった。

高次脳機能障害9級が認められるには?

自賠責の基準

9級

神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの

9級が認められるには?

知能や記憶力に何かしらの障害があったり、コミュニケーション能力が低下したなどの事情があれば、認められることが多いです。

他にご相談されたい内容があれば、次の相談メニューから選んで各ページをご覧ください。 

リンクスは高次脳機能障害の解決実績が多数

リンクスの弁護士は、1000人以上の交通事故被害者の方から無料相談をお受けし、500人以上の交通事故被害者の方からご依頼頂いてきました。

その中で、数多くの高次脳機能障害の方のご依頼を受け、適切な後遺障害等級の獲得と適正な補償を実現させてきました。

リンクスのススメ

リンクスでは、高次脳機能障害の後遺障害等級認定でお困りの方高次脳機能障害で適正な補償をお受け取りになられたい方をはじめ交通事故でお困りの被害者の方のため、無料相談 をさせて頂いておりますので、是非ご利用ください。

法律事務所リンクスの無料相談のモットーは、「敷居を低く、分かりやすく。」。
京都・関西の交通事故の被害者のみなさま、地元の法律事務所リンクスにお気軽にご相談ください。

私たち交通事故専門のスタッフがみなさまのお問合せをお待ちしています。

法律事務所リンクスは四条烏丸から南に徒歩4分

下京(旧五条)警察署の北隣のビルの5階

〒600-8413 京都府京都市下京区烏丸通仏光寺下る大政所町680
インターワンプレイス烏丸Ⅱ 5階
LINXの無料相談は「相談料・着手金無料」「弁護士特約利用可」賠償金の増額がない場合は報酬を頂きません!まずはお気軽にお電話ください。LINXの交通事故無料相談 TEL:075-353-4116 [受付時間] 平日:9時30分~17時30分 メールでの相談予約は24時間受付